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「24時間戦えますか」、「5時から男」はもう古い。従業員の健康こそが日本経済の復活のカギ

株式会社O:(オー)  Founder/CEO 谷本潤哉氏

 「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を耳にする機会が増え、「働き方改革」を推し進める企業が増えつつあるが、「ワーク・ライフ・バランス」を具体的に理解できている人はどの程度いるのだろう。また、「働き方改革」のそれは各企業に委ねられており、長時間労働の是正をはじめとする労働時間に関する取り組みが主となっているように思える。果たして「ワーク・ライフ・バランス」は本当に実現するのだろうか。

 体内時計の正常化と睡眠改善をサポートするサービスを展開するO:(オー)の谷本代表は、近年取り沙汰されている「働き方改革」に対して、言葉だけが独り歩きして、必要性と本質が正確に理解されていないのではないかと警鐘を鳴らす。「一億総活躍社会」を実現するため、政府によってさまざまな施策が打ち出されているにもかかわらず、大多数の企業は残業時間の削減、有給休暇取得の促進、子育て支援など、「組織」としての取り組み施策ばかりに目が向いており、本質的な「企業活動」を通じた従業員の「働く意味」、「仕事を通じて生きる意味」への意識に欠けているのではないかと話す。

同社は健康を促進する社会の実現に向け、働く人の健康を睡眠から分析して業務の生産性向上につなげる企業向けサービス『O:SLEEP(オースリープ)』を提供しており、従業員が負担のない生活を送ることこそが一番の「働き方改革」であると提唱している。自身も過去に大手広告代理店のコピーライターとして勤務していたころ、次々と舞い込んでくる仕事によって立ち止まる暇さえない多忙を極める生活を送った末、睡眠に悩みを抱えることとなった経験を持つ。

 長時間労働による睡眠不足、睡眠不足が招く集中力の低下――こういった悪循環による業務効率の低下は確実に生産性を下げ、日本社会に深刻な影響をもたらしている。ある調査によれば、睡眠不足に起因する経済への影響がGDP比で最も深刻とされたのは日本であり、GDP比2.92%を損失しているとの結果が出た。金額にすると年間1,000億ドルを超えているというから驚きである。睡眠を削ってまで一生懸命働いているはずが、なんとも皮肉な結果となった。

「24時間戦えますか」、「5時から男」――長時間労働を善しとする意識、美徳化・正当化によって“企業戦士”は長時間働くことが“イケてる”とされる風潮など、この数十年、長時間労働をはじめとする睡眠不足の弊害を、組織内価値観からくる集団的意識によってうやむやにしてきた傾向にある。この4月より順次働き方改革関連法が施行され始めたが、本質的な「企業活動」実現のためには、「組織経営の意志」として長期的に幅広い観点で自社の労働環境という枠組みの見直しが求められることになるだろう。少子高齢化時代に突入し、経済が低迷している今、睡眠不足は無視することのできない深刻な課題である。しかし、先ほどのデータを逆説的な見方をすると、“十分に眠る”だけで経済効果は高まると考えることもできる。睡眠を含めた「従業員の健康」こそが日本経済の復活のカギといっても過言ではない。