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「完全週休3日制」。コアバリューが成長のカギ。

600(ロッピャク)株式会社 代表取締役 久保 渓氏

 「働き方改革」という言葉を耳にする機会が増えたが、主にニュースで取り上げられるのは大手企業のそれであり、中小企業が話題に上ることは少なく、創業間もないスタートアップであればなおさらのことだ。目先の仕事に追われている、プライベートと仕事の境界線がない――。一時のIT企業のようなイメージが先行しているのではないだろうか。しかし、先進的な技術を有し、短期間で急成長を目指すスタートアップだからこそ、目的を達成するためユニークな制度を導入するなど、働きやすい環境づくりにこだわりを持つ企業も少なくない。

 東京都中央区日本橋に本社を構える『600(ロッピャク)』は、「半径50m商圏」の小さな世界から流通の未来を変えるため立ち上がった「無人コンビニ」を手掛けるスタートアップだ。2017年6月にサービスを開始したばかりであるが、都内のオフィスを中心に導入が進んでいるほか、累計商品販売数は2万個を突破し、既にマーケティングでの利用を目的とした大手メーカー各社からの引き合いも順調に増えている。成長著しいということは、少数精鋭のスタートアップにとってかなりのハードワークなのかと察していたが、驚くことに、全社員を対象とした“完全週休3日制”を取り入れている。大手企業に負けず劣らず、かなりのインパクトを与える「働き方改革」だと言えるが、労働時間が減る分、労働生産性も減るのではないか。

 そんな懸念をよそに久保代表は、「従業員の意識が同じ方向を向いているため、生産性が落ちるどころかむしろ上がっている」と教えてくれた。同社では、社名の通り六角形で6つの指標を表しており(ロッピャクの6)、「愛」「誠実さ」「責任感」「柔軟性」「仲間を助ける利他性」「局面を変える力」をコアバリューとしている。ユニークにも「愛」「誠実さ」――。全てのバリューを人間の内面的概念としており、人材の採用、育成、評価に関する全ての判断基準としている。同じ価値観をもった仲間同士が尊敬や思いやりを持つことを通じてチームビルディングや、同社の目標とする社風の醸成を目指している。また、「無人コンビニ」というコンセプトをもつサービスを手掛けている以上、消費者の消費行動に関心を持つことや、商品トレンドに関する鋭い嗅覚が必要不可欠だということから、オンとオフをきちんと分け、働くときには情熱を持って働いてもらいたいという意向で“完全週休3日制”取り入れたという。働きやすい環境は、仕事の生産性向上にもつながり、サービスの拡販も順調というわけだ。

 今では当たり前のようになっている週休2日制も、1960年代以前は当たり前ではなかった。「週休2日」という枠組みを破って「完全週休3日制」を制定し、順調な成長を遂げる同社の存在は、「企業における生産性」の本質を考えさせてくれる時代をけん引する存在といっても過言ではないだろう。「半径50m商圏」をターゲットとした小さな世界からの大きな挑戦に期待したい。