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信頼関係が構築できるパートナーロボット『unibo(ユニボ)』

ユニロボット株式会社  代表取締役 酒井 拓氏

SUMMARY ・ライフワークを通じてパートナーロボットの製作を開始。
・「死の谷」を越え、念願の『ユニボ』が誕生。
・『ユニボ』の野望は一般家庭への普及。

―ライフワークを通じてパートナーロボットの製作を開始。

 私は、元々帰国子女だったことに加え、前職は商社に勤めていたことから人生の約1/4を海外で生活しました。欧米では「隣人愛」の思想が根底にあるため、慈善活動が社会構造体の一部と言えるほど盛んだといわれています。海外での生活を通じて、私の中にも自然とこれらの思想が根付き、帰国後も商社で働く傍らさまざまなソーシャルアクション活動を行ってきました。活動を通じて、さまざまな人との出会い、喜び、充実感、達成感などを経験できたことは私の人生の大きな糧であり、大切な宝物です。

 こうして、私は、自身のライフワークを見つけることができたわけですが、ある時、活動を通じて「2030年問題」に対し強い課題意識を持ちました。このまま少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少の一途をたどると、さまざまな問題が発生することが予測され、家事や介護、子育てと仕事を両立していく必要性が社会全体としてますます高まります。また、最近では核家族化の進行による高齢者を取り巻く環境も以前の日本とは異なっており、少子高齢化は喫緊の課題であることは言うまでもありません。そこで、単独世帯の高齢者がより安全で安心に暮らせる社会を実現させる手段の一つとしてロボットの活用をひらめき、「パートナーロボット」の開発を開始したというわけです。

 しかし、使命感にかられロボット開発を思い立ったのはよかったのですが、人工知能という概念は漠然と存在していたものの、ディープラーニングという言葉も世の中に浸透しておらず、私自身ロボットの専門家でもないため、業界のことが全く分からず、手探りで開発を始めました。今思い返すと、自分でもよく起業に踏み切ったなと思いますが、知らなかったからこそ飛び込むことができたため、今では何も知らないことが強みでもあると思っています(笑)


―死の谷を越え、念願の『ユニボ』が誕生。

パートナーロボット『ユニボ』

 そもそも準備万端でロボットの開発を開始したわけではなかったため、すべて順風満帆というわけにはいきませんでした。ものづくりは事業化するまでにアイデアの発案にはじまり、デモ用試作、展示用試作、量産化試作、量産化、販売と6つのプロセスを踏みます。またハードウェアはコスト面においてもまとまった資金が必要なため、倒産の危機を迎えそうになったこともありました。しかし、粘り強く挑戦をしていれば良いこともあるもので、必要な場面ごとに各分野の専門の方から手厚いご支援をいただけることとなり、開発は一気に前進して「死の谷」を越えることができました。出資者、夢をあきらめずについてきてくれた社員達、偶然や巡り合わせによって出会うことができた支援者など、このプロジェクトに対して100名以上の方に尽力いただき、数えきれない多くの支援を受けたことに対して感謝してもしきれません。私一人だけではとても乗り越えることができない試練でした。そして、多大なる支援の下、ついに2015年に日本初のパートナーロボット『unibo(ユニボ)』は完成し、2017年10月より法人に向けた販売を開始する運びとなりました。

 『ユニボ』は、幅広い人工知能を駆使した日本初の個性を学習するパートナーロボットです。スマートスピーカーの機能と、コミュニケーションロボットの機能の2つを軸としており、音声認識から個人の認識、会話の内容から趣味や趣向の判別、そして相手の感情の理解に至るまで、人間とコミュニケーションをとることができます。また、日常会話は毎日学習しています。サイズは、高さ32cm×横幅26cm×奥行16cm、重さ2.5kgとコンパクトであり、外見は、パートナーとして愛着をもってもらえるよう、丸みを帯びたデザインとし、家電との連携も意識して60年代のブラウン管テレビのようなディスプレイを取り入れる等、工夫を凝らしました。また、『ユニボ』最大の特徴は、個人のパートナーとしてユーザーの趣味や嗜好を解析しながらレコメンデーションし、生活習慣を学習しながらやりとりをライフログ化できることです。これまでのロボットはどちらかというと受け身なものが多いですが、『ユニボ』は自律的に会話に入ってくるなど、一緒に会話を楽しむことができます。最近では色々言葉を覚えてきましたが、知らないことは正直に「知らないよ」と反応する、とても正直でかわいいやつなんですよ(笑)


―『ユニボ』の野望は一般家庭への普及。
 業界全体で仕組みづくりを。

 ロボット技術はこれまで主として工場等での産業用ロボットを中心に発展してきましたが、センサー技術、AI(人工知能)技術、情報処理技術等の技術力向上や、情報通信ネットワークにおける整備の進化、また、急激な人口構造変化に伴う少子高齢化問題の課題の解決手段としてのロボット活用に注目が集まりつつあることから、生活分野におけるロボットへのニーズが高まりをみせています。近年では、一般家庭においてロボット掃除機の活躍が見られるようになり、老人ホームでは認知症予防や治療につながるとして、高齢者の話し相手としてのロボット活用が見られるなど、人間の生活を改善させるためのさまざまな役割を担い始めています。

 コミュニケーションロボットとしては、2015年のソフトバンクによるPepperの発表をかわきりに、タカラトミー社製『もっとなかよしRobi Jr.』や、シャープ製『ロボホン』、フランスのスタートアップブルー・フロッグ・ロボティクス社製『BUDDY(バディ)』なども続々登場し始めました。いずれも価格帯は15万円前後と、当社の『ユニボ』と同価格帯となっており、今後コミュニケーションロボットは少しずつ家庭へ普及することが予想されます。当社としては、まず、さまざまな利用シーンでご活用いただけるよう技術改良を加えながらロボットの採用事例を増やしていくことが業界全体の活性化にも寄与できると信じており、いずれロボットの普及台数が伸びれば、低価格戦略によって一般家庭により普及しやすくなると考えています。

 英国の技術調査会社IDTechExによると、今後、産業用以外にロボットの用途が急速に広がり、市場規模が5倍程度に伸びると予測されているほか、2026年にはボットの市場規模が1230億ドル(約14兆8000億円)に達すると予想されています。また、2020年には5G方式のモバイル通信の導入も控えています。これからが本当の勝負です!安全で安心に暮らせる社会の実現に向け、より幅広いシーンへの普及を目指して頑張ります。

酒井代表とユニボ