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必要な時に、必要なだけ倉庫を借りられる物流網のマーケットプレイス『souco』

株式会社souco 代表取締役 中原 久根人氏

インターネットをはじめとするテクノロジーの発達により、モノ、場所、資産を「所有する」という考え方が変わりつつあり、急速に発展した分野の一つに「シェアリングエコノミー」があげらる。また、近年のECの普及に伴う課題山積の物流業界にも「シェアリングエコノミー」の波は到来しており、倉庫やトラックをはじめとする設備や資産などの莫大な投資費用や維持費を背景に、いかに資産を活用して売り上げを生み出し非稼働時間を減らすかが重要視されている。

―小規模・短期間の倉庫契約を独自のマッチングシステムで効率化

 『souco』は、倉庫の空きスペースを提供したい事業者と、倉庫を利用したい事業者をウェブサイト上でマッチングする倉庫のシェアリングサービスです。これまでの日本における倉庫を借りる条件としては、中小倉庫でも1区画数百坪程度での貸し出しが多く、また、契約期間は3〜5年程度が業界では一般的でした。当社のサービスであれば、1パレット(荷物を載せるための荷役台)単位から1日単位での利用が可能ため、物流拠点を柔軟に確保したい大小さまざまな事業者にとって、無理なく無駄なく倉庫を使える仕組みとなっています。また、貸し出しに登録いただいている倉庫スペースの総計は全国で15万坪超(2019年5月現在)に達しており、借り手側は、1メートル四方ほどのパレット1台分のスペースから数千坪規模の倉庫まで、豊富な選択肢の中から最適な物流拠点を確保することができます。

『souco』トップページ

 一方、貸し手側の多くは、これまでは閑散期に稼動していないスペースを遊ばせていました。もともと小規模・短期間で借りたいというニーズがあることはわかっていたものの、これまでは手がつけられていない状態でした。そこで、そのニーズや物流業界の効率化を図るため2016年にsoucoを立ち上げました。 安心して便利に利用いただけるよう、サービス開始初期から大手企業との取り組みを進めており、2017年7月には東京海上日動火災保険株式会社と共同で専用の日割り保険を開発しました。また、同年8月には世界最大規模の物流不動産プロバイダーであるプロロジス社と提携、10月にはグローバル・ロジスティック・プロパティーズ、大和ハウス工業と提携し、全国の倉庫を紹介できる体制を整えました。


―14兆円といわれる物流市場への挑戦

 soucoを立ち上げる前はオンライン接客型不動産サービスのスタートアップ企業で法人向けの不動産サービスの新事業開発を手掛けていました。さまざまな企業のリサーチを通じて倉庫を短期的に借りたいニーズの多さに気付くとともに、貸す側(倉庫側)にも一時的に空いたスペースを貸したいニーズがあることに気付きました。全国的に営業倉庫(国土交通大臣の登録を受けた倉庫)は年間平均2割ほどの空きスペースがあるとの試算がされています。しかしながら、①旧来の倉庫業法、②業界の慣習、③短期利用に適応する保険――が障壁となっていたため、短期的かつ小スペースの貸し借りが難しいのが実情でした。

 特に、旧来の倉庫業法は、倉庫として利用される建物の設備自体は変わらなくても、そこを利用する倉庫業者が変わるたびに倉庫の設備基準に関する申請が必要だった上、申請から認可を受けるまでは手続きに約半年間も要していたため、急に倉庫が必要となってもすぐには確保することができませんでした。倉庫業者としては急なニーズへの対応が現実的でなかったものの、倉庫業界としては長期的な視点で収益を拡大していくための次の一手を模索しなければならない状況でした。こうした状況下で、「短期間」や「小規模」でスペースを提供するという新たな視点で貸し手と借り手をつなぎ、スペースの有効活用を促すことができれば、倉庫業界だけでなく物流業界全体に新しい旋風を巻き起こすことができると確信を持ちました。

 2018年6月の法改正後は前回認可を受けた時から建物の設備に変更がないことを示せば施設が適合していると見なされるようになったため、最短2週間程度に手続きが短縮され、急なニーズに対応しやすくなりました。この法改正に向けて、私自身も国土交通省とのディスカッションを重ね、実態にそぐう法改正に向かうよう働きかけてきました。


―ゼロからのスタート。前例のない事業を国内で成功させ将来的には海外へも

 昨今、物流業界では少子高齢化に伴う人手不足や過重労働などの問題が浮き彫りとなっています。特に、EC市場の拡大が小口配送のボリューム増に拍車をかけ、十分なドライバーの確保が困難になっており、それに伴って輸送費も上昇している状況です。この課題解決に貢献するため、当社としてはまず『souco』で提供する倉庫数を増やすことに力を入れ、これらの倉庫を物流拠点として利用いただくことで、荷主企業の倉庫にかかるコストを最小化し、物流をより効率化していくことを目指します。たとえ小さな空きスペースでも、それを物流拠点として利活用するシーンを広げることができれば、積み荷無しでトラックを走行させることや、コンテナに積みこむ荷物が満載になるまでの時間を待たずに済むなど、あらゆる無駄を省くことが叶い、実に効率的です。

 2つ目の目標として、空きスペースのマッチングだけではなく、効率的な物流ルートの整備を掲げています。深刻なドライバー不足や輸送費の削減を解決するためにも『souco』を利用している事業者同士が貨物を共同配送できる仕組みを構築することができれば、また一つ、物流業界の課題解決に貢献できると強く信じています。また、物流は「入庫、保管、出荷、輸送」という基本的なスキームは世界中どこも同じなので、ビジネスの検証が進めば、国際的貿易にも応用できると考えています。日本のように物流に対する課題を抱えている国や地域があれば積極的に海外展開にも挑戦し、世界における物流の効率化を実現してきたいと考えています。

代表取締役 中原 久根人氏