Loading

“研究者支援”を通じて、世の中から「わからない」と「絶望」をなくしたい

株式会社Inner Resource 代表取締役CEO 松本 剛弥氏

SUMMARY ・家族にふりかかった難病がきっかけとなりInner Resource設立へ。
・日本における研究機関の課題を『リプルア』で解決。
・2019年からの挑戦 ライフサイエンスの未来に貢献。

―家族にふりかかった難病がきっかけとなりInner Resource(インナーリソース)設立へ。

 実は8年前、家族が難病指定を受けました。当時の医療ではその病気自体が判明しておらず、原因も解決策も分からないというもので、「絶望」の淵に立たされたような気持ちでいっぱいだったことを今でも鮮明に記憶しています。家族を助けるため、医療に関するさまざまなことを調べていくうちに、大学をはじめとする国内の研究機関を取り巻く研究環境は、依然として多くの問題を抱えており、研究者自身が煩雑な事務作業に追われ、肝心の研究活動に打ち込めていない現状だということを知りました。そこで、私たちのような新たな治療を待ち望んでいる方々のニーズを少しでも広くカバーできるよう、世の中から「わからない」を無くすため、「わからない」ことに対して必死に究明し、解決策を模索しているスペシャリストを支援することをライフワークとしようと心に決めたことがInner Resource(インナーリソース)の始まりです。

 医療にとどまらず、ライフサイエンス業界全体の研究環境の無駄を減らし研究者を支援するため、「研究業界の無駄をなくす」「イノベーションを巻き起こす」「研究に関連する情報の繋がりを最大化する」の3つを事業の柱とし、研究施設・ラボ内の管理業務を徹底的に効率化する無料のクラウド購買管理ソフト『reprua(リプルア)』を運用しながら次の展開に向けて新たなサービスの準備を進めているところです。また、『リプルア』は、武田薬品工業の運営するサイエンス分野のイノベーション強化施設「湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク)」に入居するバイオベンチャー各社に導入が進んでいるほか、東京都の創薬系ベンチャーを支援するアクセラレーションプログラム「Blockbuster TOKYO(ブロックバスタートーキョー)」でも採択され、業務拡大しています。


―日本における研究機関の課題を『リプルア』で解決。

 一般的に、日本における企業は、需要の不確実性を回避するため、危険の分散を通じて長期的に安定した利益を確保しようとする傾向があります。取引関係においても長期的視点において関係を構築し、意思決定を共同化することで利益の最大化を図っているため、これらは日本の商取引の最大の特徴といえます。取引関係とは、企業/研究室、専門卸業者、小売り/メーカーなど、長きにわたって密接している3者間の流通を指し、これらが諸外国と比較すると非常に複雑化した流通の構造を生み出した要因であると言われており、積み重ねられてきた業界慣習や情報の撹乱、煩雑な事務処理など理由は多岐にわたります。そこで、事務的側面から研究室におけるあらゆる煩雑さを支援する全購買・管理フローをワンストップで効率化し時短・管理・比較・共有・コンプライアンスなどの高付加価値を提供するクラウド購買システム『リプルア』を開発しました。発注側は管理業務の効率化と予算を有効活用することができ、受注側は、ウェブでの営業促進ツールとして活用することが可能なため、3者間がwin-winになる仕組みとなっています。

 『リプルア』による効果は大きく3つあります。「使いやすさにこだわったUI(ユーザーインターフェース)」による業務の大幅な効率化はもちろん、研究費の有効活用、そして今後より必要になる研究費使用の透明性や信頼の構築に力を発揮します。研究費が有効活用されていることを示し、より大きなチャレンジのための資金を集めるには、信頼が必要不可欠です。リプルアを使うことで予算の効率化ができ、透明性が担保されることで信頼が蓄積され、さらなる研究費獲得につながる。その好循環を生み出すことができるのです。現時点で30社超、約80の研究室で導入いただいており、実際に利用いただいている方からはコスト面のみならず管理業務における手間が大幅に削減できたことで時間の有効活用ができたと嬉しいお声をいいただいます。また、要望の多かった試薬や研究資材の在庫管理機能も有料オプションとして今春より提供を開始する予定です。


―2019年からの挑戦 ライフサイエンスの未来に貢献

 少子高齢化に伴い、健康・医療関連分野は国家成長戦略の柱の一つに位置付けられ、産官学の連携が推進されるなど、規制緩和やアカデミア発の研究が徐々に活発化しています。しかし、日本における研究機関を取り巻く環境の改善はまだまだ未着手の部分が多いと感じています。まずは日本から改善を進め、少し先の未来でアジア・アフリカへ展開し、世界中で研究環境を整備していきます。研究者の支援を通じてライフサイエンス業界の発展に貢献することはもちろん、「わからない」が故に「絶望する」ことが無い社会の実現を目指します。

Inner Resource   代表取締役CEO 松本 剛弥氏