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コンビニよりも身近な「半径50メートル商圏」の世界。 決済機能搭載の無人コンビニ『600』

600株式会社 代表取締役 久保 渓氏

 少子高齢化に伴う労働力不足が取り沙汰されるようになって久しい。特に流通・小売業界においては深刻な問題となっており、人手不足解消の切り札として『Amazon Go』や、『Bingo Box』などをはじめとする「無人コンビニ」が注目を集めている。日本においても大手コンビニエンスストアが本格的な実用化を目指して実証実験に進む中、人手不足解消のそれとは一線を画した「半径50m商圏」をターゲットとする新しい形の「無人コンビニ」『600(ロッピャク)』が誕生した。流通・小売りの未来はどう変化していくのだろうか。

― 一人一人に寄り添うコンシェルジュサービス。

 当社の手掛けるコンビニ『600』は、コンビニエンスストアやスーパー内で見かける冷蔵ショーケースを自動販売機サイズにした小さめの冷蔵庫型ボックスで、ガラスの扉越しに商品を見ることができるデザインとしました。自動販売機サイズとコンパクトながら用途の幅が広く、文房具から食品に至るまで、酒類、たばこ、乳類、食肉等の販売免許や許可が必要な一部の商品を除く最大600種類の商品を取り扱うことができるほか、クレジット決済専用のディスプレイ端末を搭載しているため、現金を持たずして手軽に買い物することができます。

 すべての商品にはIDを埋め込んだRFタグを取り付けているため、専用端末にクレジットカードを通すことでRFIDが商品を自動認識し、料金が自動で計算される仕組みです。このため、ICカードをかざすことや小銭を出し入れする手間もないほか、買い物に要する時間はたった数秒と、非常にスムーズな買い物体験を得られること間違いなしです。また、『600』最大の特徴として、SNSを通じて利用者が欲しいものを直接リクエストできる買い物コーディネーター機能を備えており、商品のフルカスタマイズを可能としているため、利用者それぞれのシーンに最適化された品揃えを実現します。

 商品の供給は、週に2回、当社の社員が行っています。社員が商品を補充することに対して非効率的に思われたり、より合理的な方法があると言われたりもしますが(笑)、会社の規模が大きくなり、対応しきれなくならない限りは、私も含めた当社社員で行なっていくつもりです。『600』には、大手コンビニエンスストアや自動販売機ではすくい取れない需要をカバーする使命があり、それが、利用者一人一人に寄り添うコンシェルジュサービスだと考えているからです。


― まずはオフィス需要を開拓。

 『600』を開発した経緯は、私が3社目に立ち上げたクレジット決済サービスWebPay ホールディングスがLINEグループの傘下となったころにさかのぼります。私は、その時初めて高層のオフィスビルで勤務し、人の多さもさることながら、休憩時間にオフィスとコンビニエンスストアを行き来する時間に強いストレスと不便さを感じたことに始まります。都心の高層ビルならではのエレベーター待ちをはじめとする時間のロスや、それに伴う精神的疲労などを軽減する目的で無人コンビニの開発を開始しました。

 月額利用料は5万円。サイバーエージェントの子会社やBASEなど、IT企業をはじめとする約50社にご利用いただいています。また、問い合わせも順調に増えてきており、年内には500カ所への設置を目指しています。まずは、都内のオフィスを中心に契約数を伸ばすことで足元の売り上げを確保し、取り扱い商品や販売数を伸ばすことでオフィスにおける需要を対象としたマーケティングデータの構築を推し進めていく計画です。また、将来的には工場やマンションの共用部、病院など、人の集まるさまざまな場所への展開を強化してコンビニエンスストアよりも身近な、新しい買い物シーンを創造したいと考えています。


― 「半径50メートル商圏」の小さな世界からの大きな挑戦。

 サービス名『600』には、一般的なコンビニエンスストアが取り扱う商品数600品を無人コンビニのショーケースの中に実現したいという目標と想いを込めています。現状、オフィスへの展開を中心に進めていますが、前述のように設置場所が広がれば、オフィスのみならず、さまざまな場所における売れ筋商品の分析データとして活用することも考えられます。

 大手コンビニエンスストアもすでにオフィス向けミニコンビニに参入していますが、私たちはもっと小さな「半径50メートル商圏」で勝負に挑みます。小さなエリアにおける細かなマーケティングデータは、今後、メーカーや小売業が地域限定商品等をはじめとする商品開発や販売戦略を考える上で必要不可欠な存在となるに違いないと確信を持っています。細やかなニーズを小さな世界からすくい上げ、データ活用を通じて新規ビジネスの創出をはじめとする企業活動の効率化と活性化に役立てたいと考えています。そして、「半径50メートル商圏」だからこそ知り得る、よりリアルなデータを小売業の付加価値を高めるカギとして流通・小売業界にイノベーションを起こしたいと考えています。

代表取締役 久保 渓氏