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社員の「主体性」を高める経営

株式会社souco(ソウコ)代表取締役 中原 久根人氏

 物流倉庫の空きスペースを有効に活用したい事業者と、一時的にスペースを借りたい企業とをマッチングするサービス『souco』。倉庫の空きスペースを有効活用するためのシェアリングサービスとして注目を集める同社は、2018年10月にサービスを本格稼働させて以来、約半年間で登録社数が1.6倍の約340社に達するほどの急成長を遂げる注目のスタートアップだ。

 現在、社員はエンジニアを中心に10名が在籍。まだ少人数のためあえて組織化はしておらず、テレワークを推奨しているのだという。近年、政府が推進する働き方改革の一つとして注目されているテレワークは、生産性の向上だけにとどまらない就業機会の拡大や、意欲・能力を存分に発揮できる環境作りによる多様な働き方を実現することが大きな目的となっている。しかし、勤怠管理、情報漏えい、コミュニケーション、設備・環境の用意、業績評価が困難――など、まだまだ課題は山積であり、導入に二の足を踏む企業も少なくない中「強制的」にテレワークを推し進めるとは非常にユニークであり、興味深い。

 潤沢な資金や体力に乏しく、将来性の不透明なスタートアップにとって優秀な人材を確保することは最大の難関と言っても過言ではない。企業としての成長も加速させなければならない中、大手企業のように丁寧に時間をかけて人を育てる暇もない。どうすればプロフェッショナルを採用することができるのか――。行きついた答えが、個々人の「自律性」を重んじるということ、そしてテレワークの推進だ。決まり事は、少なくとも週に1回必ず全員が集まって顔を合わせて打ち合わせを行うことと、稼働時間は必ず各自がSlackなどのツールを通じて連絡が取れる状態にすることの2点のみ。

 これは社員に対する中原氏の「主体性を持って仕事をしてもらいたい=成長につなげてもらいたい」という経営者としての親心でもある。一般的に、スタートアップでは迅速な働きと結果が求められる。だからこそ、次々と舞い込む案件をクリアするたびに社員はスキルの向上を実感することができ、同時に、少人数だからこそ仕事に対する責任感と主体性が生まれるという。soucoではこうした環境が功を奏して、社員同士が互いに連携を強め、協力し合う良い雰囲気が創り出されることによって社内に一体感が生まれている。また、基本的に日常的なコミュニケーションはSlackを使用しているため、業務の進捗や稼働率を常に全社で把握できているため、オフィスに出社しない「強制」テレワークスタイルであっても困ることはほとんどないそうだ。

 少人数だからこそできることなのかもしれないと中原氏は謙遜するが、ゼロから事業を創造するスタートアップにとっては「エネルギー」と「スピード」が極めて重要であるため、効率のいい働き方が企業のビジョンともマッチしているのだろう。なお、同社は空きスペースのマッチングだけではなく将来的には効率的な物流ルートの整備を目指している。まずその第一歩として物流拠点の選択肢を広げる取り組みを始める計画だと教えてくれた。どんなに小さな空きスペースでも、それを物流拠点として利活用するシーンを広げることができれば、積み荷無しでトラックを走行させることや、コンテナに積みこむ荷物が満載になるまでの時間を待たずに済むなど、あらゆる無駄を省くことができ実に効率的だ。そしてそれは必然的にコスト削減にもつながる。

 国内ではまだこの分野を手掛けているプレーヤーはいない。物流市場14兆円、倉庫市場だけでも1兆円規模といわれている業界のスキマ分野に突如現れたスタートアップ『souco』。徹底的に効率化にこだわる彼らが今後一体どのような方法で物流の非効率を解決してくれるのだろうか。今後の活躍に期待したい。