Loading

「偶然降りかかった試練」が「人生をかけた挑戦」に。

株式会社Inner Resource 代表取締役CEO 松本 剛弥氏

『人生においては何事も偶然である。しかしまた人生においては何事も必然である。このような人生を我々は運命と称している。』

 かの有名な日本を代表する哲学者が残した言葉にもあるように、「偶然」自身に降りかかった試練が「きっかけ」となり、「必然的」に挑戦する道を選択した起業家を紹介したい。

 ライフサイエンス業界全体の研究環境の無駄を減らし、研究者を支援するサービスを展開しているInner Resource松本CEOの「偶然」は突然に訪れた。約8年前、サラリーマンとして外資系の金融企業に勤務していたころ、家族が難病指定を受け、原因・解決策不明の病だと告げられた。それは松本家にとって青天の霹靂の出来事であり、頭が真っ白になった。病気の原因も解決策も打つ手立てがなく、絶望の淵に立たされたような気持ちでいっぱいだったことを今でも鮮明に覚えていると当時を振り返った。

 居ても立っても居られず、病気や医療に関するさまざまなことを調べ始めると同時に、当時勤務していた外資金融企業を退職し、研究機関向けの専門商社への転職を決めた。専門商社では仕事を通じて数多くの研究者と接することができたため、難病の研究や治療を行う医療機関に関する知識や人脈等も得ることができた。しかし、ふと、大学をはじめとする国内の研究機関を取り巻く研究環境は、依然としてさまざまな問題を抱えており、研究者自身が煩雑な事務作業に追われ、肝心の研究活動に打ち込めていないのではないかと疑問を持つようにもなった。そこで、自身のように新たな治療を待ち望んでいる方々のニーズを少しでも広くカバーできるよう、研究者が研究に没頭できる環境の構築を通じて業界の発展に寄与するべく、研究者を支援する立場として人生を捧げようと、起業という道を選んだのだ。

 たくさんの苦難を乗り越え約1年半。サービスは利用者から好評を得ており、順調に導入が進んでいる。また、プライベートにおいても難病に関するはっきりとした解決策はいまだないものの、研究者への支援というライフワークを通じて家族の健康を維持するための対策が打てるところまで進展したそうだ。家族を想う気持ちが数々の試練に打ち勝つ原動力となり、起業家として社会課題の解決に向かう姿を「運命」と言わずして何と言おう。ご家族の健康をお祈りするとともに「運命」の挑戦を応援したい。