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人生を大きく変えた一冊。丹羽宇一郎著 『人は仕事で磨かれる』。

株式会社Z-Works(ジーワークス) 代表取締役 共同経営者 小川 誠氏

 経営トップには「読書」を習慣としている人が多い。ソフトバンクの孫正義氏、ファーストリテイリングの柳井正氏、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、ウォーレン・バフェット氏――など、そうそうたる経営トップが愛読家として知られている。また、大手企業でなくとも、習慣として「読書」を挙げる経営者は少なくない。忙しい彼らが大切にしている「読書」の時間は一体どんな効果をもたらしているのだろうか。

 IoT介護サービスを提供するZ-Worksの小川氏も例外ではない。昔から多くの読書を楽しんできた彼は、さまざまなジャンルの本を読み、知識を吸収しては人生の学びとしてきた。起業してからはビジネス書を読むことが多くなったそうだが、そこには多くのビジネスに役立つヒントや知識が書かれていると話す。起業してからは、サラリーマン時代とは異なり視点が大きく変わった。他人に指示されるのではなく、あらゆることを自ら決断し、会社という組織を導いていかなければならないからだ。全責任は自分にある。自分の下した決断によっては会社の未来が変わるといっても過言ではない。

 経営者になってこそ知り得るプレッシャーを力に変えてくれたのが「読書」であった。さまざまな成功者の著書を読みあさっては知識に変え、経営者としての心構えや経営感覚を養う手段としても役立てた。中でも特に感銘を受け、今でも大切にしている本は、元伊藤忠商事社長・丹羽宇一郎氏の『人は仕事で磨かれる』だという。多額の負債を抱えていた伊藤忠商事の業績を就任からわずか4年で過去最高益となるの705億円の黒字を計上するまでに回復させた経営手腕もさることながら、努力し続けることの大切さ、精神力の磨き方、現場主義など、丹羽氏の生き様にも衝撃を受け、経営の師として仰いでいる。また、丹羽氏の社長時代のエピソードとして、毎日電車通勤というエピソードが書かれていたことが忘れられないとも話す。日本を代表する大企業の経営トップながら、社長となってからも社員と一緒に満員電車に揺られて通勤するスタイルを続け、苦労した若手時代の気持ちを忘れないよう自身の戒めとしていた姿勢や、電車の中をマーケティングに格好の場と捉え、中づり広告や、乗客の持ち物、服装などを注意深く観察し、通勤時間を消費動向や景気動向の把握の時間に充てていたという経営者としての時間の使い方にも衝撃を受けたからだ。

 人は上の立場になったとき、その人の人間性が表れることが多い。新たな領域であるIoTという技術を駆使した「がんばらない介護」の実現やQOL(生活の質)の向上を目指す一起業家として、この先何が起ころうとも初心を忘れず現場主義を貫くことを心に誓っていると教えてくれた。「仕事」、「成功」などと考えるとビジネス書を連想しがちであるが、「生きていく」という視点で考えると人生を大きく変える出会いやヒントはビジネス書だけでなく、小説や絵本の中にもあるかもしれない。これから起業を考えている人にもそうでない人にも、自分を成長させ人生を豊かにするために人生のバイブルとなる一冊をぜひ見つけてほしい。